彫刻家の素描手帳 -Sketchbook by sculptor-

京都で彫刻家として活動しています。素描を主にお見せします。In Kyoto, working as a sculptor. The show mainly drawings.The one wants to look at a sculpture, please click the "sculpture" of the left category column. Thank you!

2017 CAF.Nびわこ展 レポート CAF.N BIWAKO Exhibition in Shiga Japan report

今年も開催されたcafびわこ展 好評のうちに無事終了することができました
皆さまありがとうございます

今年も充実したいい展覧会だったと思います
出品者には手練れのベテランが多く
制作を「美術」というものへの信頼と近代美術史の文脈の中でとらえようとしている人には
オーソドックスで見応えあるものだったのではないかと思います

さてでは入り口から順にみていきましょう
今年は私の作品が入り口すぐということになりました




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水嶋康宣 ”ネフェルティティ”
この作品では表面を風化したように加工し 元々あった鼻も削り取り
古代遺跡から出土する神像の破片のような存在の強さをもたらしたいと思いました。
ネフェルティティとは古代エジプトの伝説的な美貌の王妃です

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水嶋康宣 ”貞観”
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水嶋康宣 ”貞観”部分
貞観(じょうがん)とは平安時代前期の元号です
その頃から日本には都を離れた山寺が多く建ちはじめます
仏教が質的に変化したということでしょうが
それは識者にお任せして
特に関西では今でも
鄙びた田舎の山道に迷い込むとそんなお寺に出会ことがよくあります
そしてお堂の片隅には破損したり焼損した当時の仏像が残っていたり
私はしばしばそれらから
奈良時代のものや藤原期院政期のもの鎌倉時代のものとも違う尽きせぬ魅力を感じるのです
その感銘の正体をドナテッロへの関心を軸とし合わせて探っているところなのです

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水嶋 作品展示状況
真ん中のものは以前
ギャラリーRYOでのおに展に出品したものです






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久保直美 ”日々うつろい”
小品ながら一つ一つ珠玉の作品です
アンフォルメルあるいは白髪一雄元永定正と言った画家たちの若き日々の仕事を思います

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久保直美 ”日々うつろい”より

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久保直美 ”日々うつろい”より






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下村千砂子 ”Truth of the ceramic art”
タヌキは作者自身でしょうか、電動ろくろの上で回転に合わせ箒で陶器の破片をお掃除するタヌキと
電気窯で尻に火が付き真っ黒に焼かれたタヌキ
陶芸家の日常がユーモラスに語られているようです







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藤原和子”こころのかたち”






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種池仁志 ”求体”
決して誤字ではありません
「求体」に込められた作者独特のウィットとユーモアを味わってください






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並河富美代”風の記憶”
風は新緑の草原や水面 はたまた森を駆け抜ける風でしょうか
初夏の風が匂ってくるようです






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池田丈一 ”ふれあいの記号2011 ほっす”
日本には「彫刻」など元からない
池田さんが「教わったこと」を捨てて原点に回帰した時 そう悟ったのだそうです
ひらがなというこの国独自の文字記号の形は「日本」を設定できる時
立体作品においてもコンストラクションの有力な拠り所となりうるのかもしれません
*池田さんのお名前の丈の字には点が付くのですがうまく変換できず正確なものではありません
お詫びとお断りをします





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小多譲仁 ”泡沫”






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加藤志津子 ”K Ckoud 2017 No.5"






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片山龍一 ”いのちのふしぎ”






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日花治子 ”faraway"
大きな空間を占める立体作品でありながら作者の感受性は細やかなディテールにもたっぷり注がれています
縫い針と糸で飾られたオブジェ 私には大きな針山を連想させるのですが






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新井知生 ”意識の森 16-7”






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藤田マサヒロ+SEO ”Green chan projects 2017 ~緑のかけらを探して~”
動き続けるグリーンちゃんの楽しいインスタレーション作品です
スクリーンの前の台車や段ボール箱も作品の一部です






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北村信樹 ”痕跡”
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北村信樹 ”痕跡”の一部
この作家は陶芸の技術を用いて廃墟の一部分を思わせる作品を作り続けています
建物の痕跡は即ちヒトの営みの痕跡であり
ヒトが幸せに/不幸せに豊かな心を持ち多くのことを感じながら暮らしていた証拠なのです
またこれだけ巨大なものを意図通りに焼成する技術にも注目






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松田彰 ”忘備録 日記シリーズ36日”
大災害は芸術家に様々な試練を与えます
最たるものは
こんな時に資源と時間をただ消費するこんな非生産的なことをしていていいのかという自責でしょうか
この作家も阪神大震災を契機にそのことを深く考え
日常こそが深く豊かな奇跡であると自覚するに至ったといいます
この作品を構成するこれら小さな正方形の作品のモチーフは主に
食事のおかずのでっかいソーセージであったり
うまい酒を飲んだ喜びであったり
大笑いして面白かった話とか
造形と造形思考の現場が排除しがちな日常の宝物のような愛おしくも豊かな出来事なのだそうです
それら一つ一つをミニマルな画材と言える鉛筆だけで掬い上げる作者の心の豊かさに敬服します






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まつもとやすこ ”湧きあがるもの”






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堀 健 ”1minute nowaday”
どうして会場内に灰皿が と思われた方がいらっしゃるのでは
私もその一人です
しかしながら近寄ってみると上部の真っ黒の部分が砂鉄で
内蔵されたモーター仕掛けの磁石の回転により様々な模様を作り出すのです






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藤原みどり ”Valanga in vallata”(左) ”Luce boschettivo”(右)






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三谷幸雄 ”AN OGURE FOR A CUBE”






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うら ゆかり ”環”
驚くなかれこれは陶芸作品なのです






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吉岡ちえ子 ”つるの恩返し”
幼い頃ゲームもなかったような世代の方ならこの作品に説明はいりませんね






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初田 寿 ”無何有 2017-9”(左) ”無何有 2017-10”(右)
む‐かう【無何有】 の意味
出典:デジタル大辞泉
《「何有」は「何か有らむ」と読み、何物もない意。「むがう」とも》自然のままで何の作為もないこと。また、そのような状態。むかゆう。
とありました
さながら禅僧の墨象を思わせる世界観を西洋の画材で実現したところに初田さんの独自性があります






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鳥居 宏 ”蟹(変身)”
カニと言われればそう見えなくもないような





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藤原昌樹 ”アワノネ”
普段鉄材を使う作者がフラフープを構成し軽やかなモビールを作っています
鉄作品のテツノネというタイトルに対しアワノネ
ネは根であると思われます
不動のもの ゆるぎないものとして彫刻を捉えている作者の
オーソドックスな造形観が窺えることです






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下川まち子 ”2017・つなぐ”
ボロボロでありながらやさしい
例えばチベットやネパールの仏教の聖地ではためく幡のような・・・・・






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松田ふさ子 ”映”
水面に映る影 それともレースのカーテン越しに映る何かの影
一瞬の光の彩がもたらす思いがけない美しさに作者は敏感に反応しているようです






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貴志 勉 ”朽ちた死も進行形”
四角いタイルは日の丸がモチーフになっており
様々な変容を遂げています
下にはそれぞれ言葉を記した平皿が隠されるように敷かれています






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DSC02717b.jpg ←部分
小泉桂子 ”クレイ(Clay)”
布に絡みついている白いものがクレイ(粘土)なのだそうです
素材が何かはさておき
気品と清潔なオーラを放つ作品を前に身を清めましょうか






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山中 隆 ”THINKING BY PAINTING 576”(左) ”THINKING BY PAINTING 575”
タイトルはデューイの”Thinking by doing”からとったのだそうです
思想哲学への接近
これも現代美術の著しい特徴と言っていいでしょう
職人技としての絵画制作を手放して
絵解きという言葉が示すような具体的な意味物語も捨てて「抽象」化するとともに
現代美術は思想哲学への同行と言っていいほどそれに接近しています
あるいはそれがこの絵のクールな魅力の秘密なのかもしれません





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高田靖子 ”輝き”






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DSC02730b.jpg ←部分
エトリケンジ ”嘆きの天使”
建材のラス網を使い見事な造形を披露しています
切った網の端っこ同士をつなぐ部分の処理の丁寧さ見事さ
パリでの個展でも興味津々で迎えられたのだそうです
作者は年齢的に私の後輩なので
「あなたも〇ぃズ二ーランドとか〇SJで造形のバイトをしたの」と
安い質問をしたら怪訝そうな顔をされました
失礼なことを言ってすみませんでした







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谷 知也 ”trace”
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谷 知也 ”trace”






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志水昌弘 ”昨日への思いは明日風”






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小泉里美 ”トキノキオク 2017”






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渋谷信之 ”クロノス”
タイトルは古代ギリシャの時の神としてのクロノスでしょうか
大地と農耕の神としてのクロノスの方が絵の雰囲気に合う気がするのですが
果たして?
作者に聞いておけばよかった






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DSC02749b.jpg ←部分
辻並啓子 ”My style 芽生”
この作品は紙紐の撚りをほぐして一つ一つの芽を作ってあります
・そもそも画材と見なされていない物をつかう
・要素を繰り返す
・大きな作品にする
など典型的な現代美術(20世紀美術)の語法に拠っていると言っていいでしょう






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DSC02752b.jpg ←部分
星加民雄 ”ふるえる唇”
この作品を動きながら見るとバックの縦縞と唇の山折りになった部分とで
本当に絵の唇が震えているように見えるのです






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上木淳吉






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笹部紀子 ”気のかたち”
何かクールな抒情を感じてしまうのですが
避暑地の光景であるような・・・・






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フジイタケシ ”Layer 〈sideways〉”(左) ”Layer 〈virtical〉”(右)
痛々しく哀しみを誘う白
白の時代のユトリロを彷彿とさせる白にうっすらと施された水色が
sideways―横に
virtical―垂直
それぞれのタイトルの由来でしょうか
感情移入のための装置附けにクリティカルなスタンスを取るかに見せるのも
現代美術fの著しい特徴と言えましょうか
あるいは”感情的な顔”を直に見せるの恥じらうフジイさんの含羞む姿なのかもしれません





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