彫刻家の素描手帳 -Sketchbook by sculptor-

京都で彫刻家として活動しています。素描を主にお見せします。In Kyoto, working as a sculptor. The show mainly drawings.The one wants to look at a sculpture, please click the "sculpture" of the left category column. Thank you!

鴨居玲について Respect for Rey Camoy XVII

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「月に叫ぶ」1973より
Copy from "Bawl to moon"Ray Camoy work

鴨居が好んで描く片腕の無い廃兵のモチーフ
それらを見ると彼が滞在したスペインのベラスケスが残した身体障害者や発達障害者たちの肖像を思い出します
あたりまえですが両者の捉え方は大きく違っています
ベラスケスの絵画では感情移入は抑制されていますが鴨居の絵では彼らは宿命に押しつぶされ飲んだくれたり大声を上げたりする
時代は違えどモデルは両者ともスペイン人です



























  1. 2015/07/31(金) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XVI

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「宝くじ売り」1975より
Copy from "Public lottery seller"Rey Camoy work




非公式に個人的な心情を吐露する―
という日本のかな文学の伝統は明治近代になって西洋由来の「個性」「真実」「芸術」「文学」等の概念と出会い
私小説という近代日本独自の分野を開花成立させた大きな原動力と考えています
また「美術」も技術体系と言うよりは概念いわば「文学」としてやってきたため
その濃厚な影響下におかれたといってよいでしょう

そのため美術においても特に自覚なしに「芸術的」であろうとするものは
私小説の手法をとりがちで
表現の純度強度を担保するためにひたすら「個人的」であろうとし現実から距離を取ってしまう
鴨居の生涯が死に急ぐように映るのがそのせいならば悲しくも致し方ないことです

鴨居もせっかく関西へ移住してきたのだから
毎日吉本にでもチャンネルを合わせて自虐ネタで爆笑して日々を送れば何かが変わったかもしれませんね
ダンディさと自虐のギャップで笑いを取って「おいしいですやん」なんていう人だったならなぁ
(そんなことになっていたら豊かで苦悩に満ちた鴨居玲という精神はこの世に存在しなかったかも知れませんが)

今回自虐ネタの切れ味鋭いお笑い芸人の又吉直樹さんが芥川賞をとられ
「自分のような髪型の人間芥川は絶対に好きではなかったと思う」とさっそくネタを披露され
太宰治への敬愛や私小説に言及されていたのは印象的なことでした
ご受賞心よりお慶び申し上げます

















  1. 2015/07/26(日) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XV

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「宝くじ売り」1975より
Copy from "Public lottery seller"Rey Camoy work





















  1. 2015/07/21(火) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XIV

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「私の話を聞いてくれ」1973より
Copy from "Listen to me"Rey Camoy work


西洋の表現の分野において自嘲自虐をテーマにしたものを見つけるのは難しいことではありません
絵画彫刻ではなかなか思いつきませんが カントリー ブルース R&B 等々
アメリカンポップスならむしろありふれています
もちろん歌謡曲にも演歌にも そして多分シャンソンにも
(演芸にもたくさんの自虐ネタ 『ヒロシです・・・・』のネタは記憶に新しいですね)

わたしは何と言ってもローリング・ストーンズ唄うダメ男のバラード推しで


さながら短編私小説集(大作もあるけど)とでもいうべき画業を残した鴨居が
閑吟集という歌にたどりつき動かなかったのは必然的なことだったのでしょう
鴨居玲の画集を広げながら
「かな」を使い(非公式な)個人的心情を吐露することを大切にしてきた日本人だからこそつかみ得た境地
そんなことをしきりに思います

















  1. 2015/07/20(月) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XIII



「宝くじ売り」1970より
All three of them are copy from "Public lottery seller"Rey Camoy work

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これらは制作プロセスではなく上から順にその都度完成と思ったものです
その都度完成と思いスキャンしてデータ化したものです
下へ向かって時間をかけるほど良くなってくれればいいのですが
なかなかそうはさせてもらえません
「最初のがいちばんよかった」なんてしょっちゅうあることです
こういうものをみていただくのも一興でしょうか


















  1. 2015/07/19(日) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XII

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「踊り候え」1979より
Copy from "Let's dance"Rey Camoy work


多分に感傷的で自意識過剰
自嘲自虐と厭世感を売り物にしたこの画家を
自画像が多いという理由で
レンブラントからエゴン・シ―レへと脈々と続く―ことにしたw「自画像の画家」の系譜に並べるのはよしとしても
「不屈」の「本質的」のと祭り上げるのはいかがなものでしょうか
自嘲自虐をテーマに「巨匠」の称号を手にした西洋の大家を私は寡聞にして知りません
プロテスタント圏ではまずありえない
カトリックとロシア正教圏でいるのかどうか
(鴨居の描く人物はフョードル・カラマーゾフとドミートリイ・カラマーゾフを連想させなくもないですが二人ともおっかさんに襟首掴まれるような男ではないし・・・・)


鴨居の仕事には西欧的なものよりも濃厚な「日本的」感覚―私小説のそれを感じてしまいます
彼がスペインに渡りプラド美術館で見たものは己の中に滔々と流れる日本の詩歌の伝統と
それを受け継ぐ「私小説」の作法ではなかったかと

ゴヤにあって
痛烈な告発弾劾義憤の対象であった人間の貪欲無知蒙昧残虐なふるまいが
鴨居にあってはいかにも弱気な人間の業―鴨居自身が生きねばならない宿業になってしまっている
そんな彼をして日本における西洋絵画の「本質的」な具現者とするなど強い違和感を感じます
閑吟集から作品タイトルをはじめ数々の引用をした事実からしても何か違う


鴨居玲の魅力を一言でいうなら「ダメ男」
でしょうか
可愛く放っておけないダメ男の魅力―太宰治と同じ匂いがします

















  1. 2015/07/18(土) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy XI

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「酔い候え」1973より
Copy from "Please get drunk"Rey Camoy work



わたしはどうしても彼を
線が細く少年のように甘えん坊でナイーブな男としてしかイメージできません

もし彼がゴヤよろしく精神的肉体的にタフで
60も過ぎてからたとえばキタ新地で見つけた40も年下の女と同棲を始めるような神経をもっていたら
むなしく吐いた言葉が蛾に変化して飛んで行くというあの繊細な感受性を示す自画像は無かっただろうと
想像しているのです
まして晩年のレンブラントのような
厳しく己の来し方を見つめて受け止めているような自画像を1枚でも残しているとは思っていません

わたしの鴨居玲への偏愛とこれらのことは別の話です
















  1. 2015/07/13(月) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy Ⅹ

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「バイオリン」1973より
Copy from "Violin"Rey Camoy work


鴨居玲の画集のページを繰りながらいつも残念に思うのは
もっと精神的にタフで逞しい人だったらなということです

同じく自画像を多く残したゴヤやレンブラントとの決定的な違いをそこに感じます

死者に鞭打つようなことは言いたくありませんが
60歳70歳80歳になった彼の自画像を見られないのがわたしは残念でならないのです
















  1. 2015/07/10(金) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy Ⅸ

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「食べる」1976 より
Copy from "Eat"Rey Camoy work




鴨居は「美術史のコンテキスト云々・・・」といった語りをする人ではなかったようです
そういう謂いには信用も関心も持たなかったはずです
それは彼の処世経歴や著作で窺うことができます

そんな人に向かって私ごときが「芸術家」呼ばわりするなど
性質の悪いルーチンギャグですね(笑)















  1. 2015/07/09(木) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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鴨居玲について Respect for Rey Camoy Ⅷ

でも
―鴨居のような画家こそが「真の芸術家」である―
なんてことを
思ってもいなければ
言う気も
喧伝する気ありません。




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「おばあさん」より
Copy from "Old Woman"Rey Camoy work


















  1. 2015/07/07(火) 00:00:00|
  2. 鴨居玲 Rey Camoy
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