彫刻家の素描手帳 -Sketchbook by sculptor-

京都で彫刻家として活動しています。素描を主にお見せします。In Kyoto, working as a sculptor. The show mainly drawings.The one wants to look at a sculpture, please click the "sculpture" of the left category column. Thank you!

浄光寺作庭記 Making of The garden of Joko-ji temple

縁あって離島のお寺の庭園整備の仕事をしました。
島にあった旧家や酒蔵、寺の旧庫裏に使われていた石材に感謝し活かすことが条件です。

まだ私の仕事はするべきことの60~70%終了といったところですが
ここらで中間報告しますね




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「人」 -People-

先ず庭の主石から
本堂に迫り大量の土砂と湿気を床下に流し込んでいた北側の裏山を削り大きな空間ができました。
それと新しい庫裏を作るために削った西側の山肌に崩落防止の石垣が出来ています。

課題は
現れた切り崩しの山肌と石垣がもたらす圧迫感と存在感を弱めて
庭として表現されたものへと鑑賞者の関心を集められるか?


庭の主石に
周りとは独立した求心力があり
それ自体で自足した形を考えました。

つまり切り崩しの山肌と石垣を表現の中に取り込むのではなく
注意をそちらに向けないだけの面白みあるものを作る方向を選択しました。

形はシンプルに、
与えられた石材のスティック状の形を生かして
漢字の「人」をモチーフに、「人」の字が重なり合って出来る形をイメージしました。
この寺院が属する浄土宗の理想を端的に表す言葉「共生~とも生き~」からヒントをいただきました。

使う石材は、少々いびつであったり、大小があったり、形も色味も違いはあるけど出来たものは「人」
それは私たち「人」が生きていく、生きていかねばならない有様の多様性と響き合うはずです。




最初に山積みになった石材を見て発想したスケッチです
はじめは更地状態で空間があるのみでしたから
切り崩しの山肌をスクリーンに
「人」の字を元に大きく横広がりに////\\\\と石を並べることを考えていましたが
いざ工事開始と再訪すると2本の植木の間へ設置と条件が変わっていました
そこで「人」を奥へ並べることとしました
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この木の間へ写真右に転がっている石を構成します。
後ろの山肌と空間、木の間のスペース、無造作に放置された石
これらが所与の条件です。

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この状態で転がっている石を見て全てを発想せねばなりません



方向性が出たので具体的な個々の石材の点検に入ります
寸法が一番大事な要素です
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*この翼竜のようなスケッチはなんでしょうかね?自分でもわかりません

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そして石の寸法を縮小し木でマケット(模型)を作りました




「人」の第2画が先になります
垂直に立てることにしました
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これだけで成立してるともいえますが(冷汗
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さて「人」第1画の始まりです
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石の長さは寝転がっていてもわかりますがいくら寸法を採ったところで詳細な特徴はわかりません
こうやって釣り上げた時に天地と向きを瞬時に決めていきます
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最後の1本
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微妙な位置決め 胃も腰も腕も痛くなります
危うく指を潰しそうになったり・・・・・
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製材されて揃っていないので違和感無くまとめるのが大変ですが
そこがまたこういう仕事の面白味醍醐味なんです
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庫裏の中から
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「桜」 -cherry blossom-

土地の人が島石、黒石と蔑んであまり大事にしない石が島じゅうに転がっています。
ですが私はいかにも石のイメージぴったりの石らしい魅力をたたえていると思うのです。
その石を使い、桜の島でも有名なこの島に似つかわしいものをと思いました。
後ろに転がる石や瓦は順次整理されます。
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まず使う石とどの面を表にするのか決めた後
実寸大の模型を作り微妙な位置決めをします
置いては離れ を繰り返し周りとの関係を確認します
納得いくまで何度も何度も繰り返します
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埋める前のひとつひとつは案外大きな石なんです
これぐらいはないと車が通った時が心配です
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ここでも いったん置いては本堂の障子の所に駆け上がり
戻っては動かしを繰り返し
微妙な位置決めをしていきます
3回ほどいったん埋めたものを掘り返し穴の位置を変えました
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本堂の東側の障子越しに見える位置を正位置としました
法事に際し時に駐車場として使われることを考慮し なるべく地面から飛び出させず
また必要以上にタイヤを痛めないよう滑らかな面に加工もしました
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「桜」は真上からではなく斜め下方からの視角を意識して並べてあります








「本堂東側車止」 -Car stop-

本堂の東側は駐車スペースとして使われています
復元修理なった建物への万が一の突っ込み事故が心配です
建物の美観を損なわないよう車止めを設置し
さらに空間が豊かさを増すように考えます

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*「桜」は写真中央の障子戸のところからが正位置です

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これらの石材は島の旧網元家の屋敷跡に放置されていたものを譲り受けました
そこは今ではただの更地になっていますが
そこを舞台に宮尾登美子さん原作五社英雄監督の映画が似合いそうな
男たちの物語があったとのことです
まさに夢の跡
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「腰掛け」 -Bench-

裏庭で本堂部が少し飛び出しています。
またそれによってできる凹部は溝のスチール製グレーチングがとエアコンの室外機などが目立ち
空間演出という意味合いで味気なく落ち着きのない部分になっています。

また車が出入りすることが多いので建物角を擦ったりしないよう衝突防止の車止めを置きたいところです。
無粋なものは置きたくないので
将来的な野立ての行事を見据え「人」の残りの石材で腰掛けとし本堂の角の保護を兼ね
卓にちょうどの石を見つけて添えることとしました。(写真手前)

今では裏庭で最も落ち着く場所のひとつとなりました。
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「雨落ち」 -place where raindrops fall from the eaves-

これも解体修理なった地蔵堂のまわり
樋がないので雨水が糸を引くように落ちる様はなかなかの風情でフォトジェニックですが
地べたへ落ちて泥はねが建物の裾を汚します。
雨水が落ちる部分を溝切りし砂利を入れると泥はね防止効果がありました。
地蔵堂前石階段の東側を溝切りしていると、おそらくは創建時の基壇まわりの石がでてきました。
聞きかじりの発掘の知識で一部を大きく掘り
石の全体像と土の人為操作を現す土の重なりの「目」がないか一応確かめ記録と図面をとっておきました。
石をすえるための地形(じぎょう)は確認できませんでした。
この石は水平が狂っている上に地蔵堂に対して平行でもなく
地蔵堂創建後200年弱で建物同様に不同沈下を起こしていました。
総じて地蔵堂は本堂と較べると造りが粗末なようです。
堂主の地蔵菩薩は当時一流仏師の腕を思わせる見事な出来栄えなのですが・・・。
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出土した石を活かして雨落ちを作りました。
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「庫裏玄関飛び石」 -Stepping-stones-


土地が砂地ですぐにタタキや玄関に砂が入ります
庫裏の玄関先に飛び石をもうけることにしました
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石の寸法を取って図面上で並べますが思った通りにはいきません。
黒線が施工前 赤線が実際です。



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さて上のふたつはどこでしょう?
庫裏玄関から本堂へもよく人が通るので飛び石を設けました
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「土留め石」 -Earth retaining stone-

境内には少し傾斜があり雨の度雨水が表土を削ります
防止策として土留め石を設置しました

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大がかりな事をしている割にできあがってみるとほとんど気付かれることはありません(笑
写真右手に庫裏玄関前の飛び石があります
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また境内にあるコンクリートのスロープ下は
雨の度に土が削られて溝ができます
ここにも土留め石を設置して
スロープの東側(写真向かって右)にある溝へ雨水を誘導することにしました

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カーブしたところなので扇の骨状に石を並べることにし、先ずは要になる石
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なかなかすんなり掘ることはできません。
よく土が削られもっていかれる所なので他の工事のセメントが余る度デタラメにいれてあります。
削岩機があってよかった♡
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埋めた石のスロープ側に栗石や大きめの砂利を入れてほぼ完了しました
今回はとにもかくにも扇の骨一本で時間切れ
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お参り用の踏み石 -Stepping-stone for prayer-

お参りの方が本堂前でお香を供えようとすると
足の踏み場がちょうど雨落ちの砂利の所になり不安定です。
足元不如意な方もたくさんいらっしゃるので踏み石を置くことにしました。

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「猫足跡石」 -Nyanco-stamp stone-

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この猫足跡石は出番待ちです
たくさん作る予定です

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雑然と見えますが山積みになっていた石を点検し、寸法を採れるように平たく並べかえたのです。
この状態がスタートでした。






最後まで見て下さってありがとう!
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「車止め地蔵」 -Jizo-





協力 福田石材(株)  長田建設  倉本石油店




この展覧会に参加します。

*CAF.N びわこ展         8/24-31 ※25は休館
*野の花のうつわ展         9/8-20 11:00-19:00 日曜休   花活け:9/8 11:00~
*貝塚まちなかアートミュージアム      11/21-30



*スケッチブック展もよろしく!   8/18-24   *今回水嶋の展示はありません
  1. 2014/08/10(日) 18:27:35|
  2. 庭園整備 Garden Making and maintenance
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